【いつも傍にいてくれてありがとう】おばあちゃんに贈る感謝のメロディー

【いつも傍にいてくれてありがとう】おばあちゃんに贈る感謝のメロディー

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いつも傍にいてくれたおばあちゃん

私はピアノ講師をしています。
私に初めてピアノを教えてくれたのはおばあちゃんでした。

幼いころ両親が離婚して、母の実家で暮らすようになりました。
母が働きはじめ、いつもおばあちゃんが寂しくないようにと傍にいてくれました。

おばあちゃんちには母が子供の頃弾いていたピアノがあって、そのピアノでおばあちゃんがチューリップや蝶々、キラキラ星を弾いてくれました。

私はピアノの椅子におばあちゃんと座っておばあちゃんの弾くピアノに合わせて歌を歌うのが好きでした。

小学校にあがるころ近所のピアノ教室に通わせてもらいました。

私がピアノを家で練習するときは必ずおばあちゃんが側で聞いてくれていて、私が上達していくことをとても喜んでくれました。

どんなに間違ってもおばあちゃんはいつも
「アヤちゃん上手、上手!」
と言ってくれました。

母が休みの日にはピアノを聞いてもらい母に褒めて貰えることがとても嬉しくて、ピアノのレッスンが楽しくて仕方ありませんでした。

年に一度ピアノの発表会があり、その日はフワフワキラキラしたドレスを着せてもらえて、おばあちゃんも母もおめかしして、発表会の日はみんなでキラキラして特別でした。

ますますピアノが好きになり、もっと上手になりたい気持ちが湧いて中学生になっても高校生になってもピアノの教室に通い続けました。
大学でも音楽を学び、音楽教室に就職しました。

こうして私は幼い頃におばあちゃんにピアノを教えて貰ったことで、私の人生はピアノと共にあり、そして私のピアノで家族の笑顔があり続けました。

どんどん弱まって小さく見えるおばあちゃん

いつも優しく見守ってくれていたおばあちゃんも年を重ね入退院を繰り返すようになりました。

退院しては、私にピアノを弾いてほしいと言って、おばあちゃんのために弾きました。

おばあちゃんは微笑むように目を閉じて私のピアノを聴き、弾き終わると優しい声で
「上手、上手!」
と変わらず言ってくれました。

ある日、またおばあちゃんは体調を崩し入院しました。
母と私は病院の先生に呼ばれ、もうおばあちゃんは家に帰れないかもしれないと告げられました。

うちに帰り母と私はおばあちゃんがもうここに帰って来れないかもしれないということに悲しくて悲しくて泣きました。

お見舞いに行っても、おばあちゃんの前では明るく振る舞いました。
行くたびにおばあちゃんは
「ピアノの方はどうかい?」
と私のピアノのことを気に掛けてくれて、二言目には
「あやちゃんのピアノが聴きたいねぇ。またあやちゃんのピアノを聴く事がばあちゃんの今の夢だよ。」
と言っていました。

どんどん弱まって小さく見えるおばあちゃん。

おばあちゃんの夢を叶えてあげたい

『なんとかおばあちゃんに元気になってもらいたい、おばあちゃんの夢を叶えてあげたい。』

2週間後に勤めている音楽教室の生徒たちの発表会があり、私は病院の先生に頼みその日一日だけおばあちゃんの外出の許可を貰いました。

おばあちゃんに生徒たちの発表会に行けることを伝えると、目をキラキラさせて、喜んでくれました。

おばあちゃんの体調も落ち着いていて、久しぶりにおめかししたおばあちゃんは嬉しそうに母に車椅子を押されて会場に着きました。

ステージの袖から母の隣で穏やかな笑顔で生徒たちの演奏を聴いているおばあちゃんの姿にほっとしました。

そして、生徒たちの演奏も終わり生徒が袖に戻ったところで、私はステージにたち、挨拶をしました。

「今日はご来場いただきありがとうございました。
生徒たちの演奏はいかがでしたか。
みんな本当に毎日練習を重ねて頑張りました。とても良かったと思います。

私は幼い頃、祖母にピアノを教えて貰ったことがきっかけで、ピアノが好きになり、こうしてピアノの仕事に就くことができました。
今日は病院の許可を特別に頂き、ここに私の祖母が来てくれています。

私事で申し訳ございませんが、祖母がいつも楽しみにしている私のピアノ演奏を聴いて貰いたいので、この場をお借りさせて頂きます。
どうか温かく私の演奏を皆様も聴いて頂けますでしょうか。」

会場に温かい拍手が響きました。

おばあちゃんへの感謝の気持ちをメロディーにのせて

「おばあちゃん、今日は来てくれてありがとう。
幼い頃にお父さんとお母さんが離婚してお母さんが働きに出るようになったけど、一人っ子でも寂しくなかったのはおばあちゃんがいてくれたお陰だよ。
それにいつも私のピアノを褒めてくれて喜んでくれたから私はピアノが好きになり、今こうして生徒たちに教えることができるようになりました。
長生きしてね。おばあちゃんが大好きです。
おばあちゃんに感謝の気持ちを込めて弾きます。
聴いてください。」

私も今日は久しぶりにキラキラのドレスを着て、子供のころの発表会のように、母とおばあちゃんに見守られてあの頃の気持ちになりました 。

私はおばあちゃんのお気に入りのショパンのノクターンを弾きました。

演奏が終わると大きな拍手に会場が包まれて、会場のおばあちゃんをみると、しわしわの両手で小さく拍手をしながらいつものように
「あやちゃん上手、上手!」
と言ってくれているのが分かりました。

私はそのおばあちゃんの姿に涙を我慢することができませんでした。

おばあちゃんに私のピアノの演奏を聴いてもらえたのはこれが最後になりましたが、おばあちゃんもとても喜んでくれて、亡くなる前におばあちゃんの夢を叶えることが出来て本当に良かったです。

おばあちゃんに会えないのはとても悲しいけれど、今でもいつもおばあちゃんが側で私を見守りながらピアノを嬉しそうに聴いてくれている気がします。