付き合ってもうすぐ1年になる彼の誕生日には……
私には付き合ってそろそろ1年になる大好きな彼がいます。
同じ営業所に配属になって仲良くなり、去年の彼の誕生日にお祝いを渡したことをきっかけに付き合うようになりました。
そろそろ1年ということは、彼の誕生日もやってくるというわけです。
1年になるのだから、何か思い出に残る誕生日のお祝いをしよう!
ところで私たちには、デイキャンプという趣味があります。
本格的なキャンプではなく、日帰りでキャンプ場に行って料理を作ったり写真を撮ったりぼーっとしたりして帰宅するというもの。
普段の生活が時間に追い立てられているため、日常の喧騒を離れて静かなところでゆったり過ごすのに、ぴったりなんです。

誕生日には、キャンプに行って、お祝いに好きな料理でも作ってあげようかな?
そう思っていたのですが、今年は新型コロナウイルスのせいで、お出かけが難しくなりました。
彼の誕生日に仕掛けるサプライズ作戦はベランピングで
出かけられない日々が続いているので、「家の中で思いっきり気晴らしできるアイデアはないかな」と考えていたところ、インスタでグランピングならぬベランピングというものが流行っていることをキャッチ。

ベランダでグランピング……要するにベランダでグラマラスなキャンプを楽しもうというものです。
インスタではおしゃれでキラキラなベランピング風景が並んでいますが、うちはそれぞれ賃貸なので本格的なDIYはできません。
そこでキャンプ用品を使って、ちょっとしたアウトドア気分を味わってみることを思いつきました。
もともと、キャンプに出かけて彼に料理を作るつもりだったので、それをベランダでやろうというわけです。
でもそれだけじゃ物足りない感じ。
そこで、彼が欲しがっていた炭酸水メーカーも一緒にプレゼントすることにしました。
どうせならびっくりしてほしいので、ちょっとしたサプライズを仕掛けることに。
忘れものと思わせてプレゼントを渡すサプライズアイデア
まず、ベランダにキャンプ用の折りたたみテーブルとチェアを用意します。
そこで山フライパンとシングルストーブで、比較的すぐできるパスタを料理します。
それだけでは物足りないので、サラダとグリルチキンも持参すれば見ばえもボリュームもOKのごちそうが完成。

ここで私が「車の中に忘れものをしたので、取ってきて」と彼に言います。
車の中には、彼が欲しがっていた炭酸水メーカー。
お酒が好きな彼は、アルコールもスパークリング化できる炭酸水メーカーを欲しがっていたことを知っているのです。
彼が駐車場に行っている間に、私はワインとグラスを用意しておく……という段取りです。
さあ、うまくいくでしょうか?
私も幸せな気持ちになれた特別な一日
彼の誕生日は平日なので、その直前の週末に作戦決行です。
とりあえず、予定をあけていてもらわなくてはなりません。
「誕生日のお祝いで料理を作りに行くので、キャンプ用のテーブルと椅子と山フライパンをベランダに出しておいてね」
私が言うと彼が「なんで」と聞いてきました。
「たまには趣向を変えて、ベランダでのんびりしてみようよ。まだしばらく遠出はできそうにないし」
私の提案に、しばらく考えた彼が「いいよ」と言ってくれました。
そして当日。
彼の部屋に行くと、言った通りにベランダにキャンプに持っていくテーブルと椅子が並んでいます。
「大荷物だねー」
大きめの保冷バッグに調理道具が入ったバッグを持ってきた私を見て、彼が驚きました。
「いろいろ持ってきたから。でもすぐ終わるから、待っていてね」
チキンは下味をつけているから焼くだけだし、サラダも出すだけ、パスタも基本的に材料を全部放り込んで、火が通るのを待つだけ。
二人分を用意しても、30分程度で準備が完成です。
料理を並べたところで、作戦決行。
「あ、飲み物を持ってくるの忘れちゃった。私の車の後部座席にあると思うから、取ってきて」
若干わざとらしくなったかなと思いながら彼に車の鍵を渡すと、彼は「うん、わかった」と素直に部屋から出ていきました。
その間に私は保冷バッグの中から冷やしておいた赤ワインとペアのグラスを取り出し、テーブルにセット。
きちんとプレゼント用に包装してあるから、気付くと思うんだけど、どうだろう?
ドキドキしながら待っていると、彼が包みを抱えて戻ってきます。
「美紀、これって」
「誕生日おめでとう、大樹。ずっと欲しがってたやつだよ、開けてみて」
私が言うと驚いた表情をしながら、包みをはがして中身を確認。
「これって、飲み物をスパークリングにできるっていうやつ?」
「そう。せっかくだから使ってみない?」
私がワインボトルを持って見せると、彼が笑いだしました。
「すごい! 手の込んだことを」
さっそく、赤ワインをスパークリングワインにして、二人で飲みながら料理をいただきました。

ベランダとはいえ屋外にいること、キャンプで使っている道具を出していることから、非日常感が味わえてちょっと楽しかったです。
去年に引き続き大樹の喜ぶ顔が見られて、私にとっても幸せな誕生日となりました。