堅物のお義父さんと距離を縮めたい……父の日のサプライズ大作戦!

堅物のお義父さんと距離を縮めたい……父の日のサプライズ大作戦! まだ評価がありません

34

このサプライズに使用されたアイテム

もうすぐ、結婚して初めての父の日……

僕・尚人と友里は、2月に結婚したばかりの新婚夫婦。
3年間の社内恋愛を経て、無事にゴールインすることができた。
お互い共働きで忙しい日々だけれど、家事を協力してこなしたり休日はショッピングに出かけたりと、楽しく新婚生活を過ごしている。

ある日の夕食の時間、「来週は父の日かぁ……」と友里がポツリ呟いた。

実は、僕らの結婚に対して、友里のお義父さんは最後まで首を縦に振らなかった。
友里は「頑固なだけだから気にしなくていい」と終始僕に言ってくれたけれど、本当は友里を託すには僕じゃ心許ないと感じていたのだと思う。

お義母さんも、以前「主人は、一人娘の友里のことが心配でならないんだと思うのよ。尚人さんが悪いわけじゃないから、気にしないでね」と電話で話してくれた。

とはいえ、お義父さんから直接了承の言葉を得られないまま結婚したことは、僕にとって気がかりだった。

「僕から、お義父さんへの父の日のプレゼント考えてみるよ」
「え? 気を遣わなくていいよ。私の家、父の日とか母の日とかそんなにきちんとしてこなかったし……」
「ううん、せっかくだから、この機会に少しでもお義父さんとの距離を縮められたらいいなと思って」

友里の実家は山梨にあって、実家に招待してもらえたのは、結婚の許しを貰いに行ったときの一度きり。
「特に話すこともないからな」と口を噤むお義父さんと、少しでも心を通わせられたら……。

それから僕は、友里からお義父さんの好きなものや趣味の話、幼少期の思い出話などを一つ一つ聞かせてもらい、どんなプレゼントがぴったりか考えを巡らせた。

旅好きなお義父さんに僕の地元のクラフトビールを

友里は実家暮らしの間、家族三人でよく旅行に行ったそうだ。
お義父さんが運転する車で、全国の観光地を巡るのが、夏休みやゴールデンウイークの恒例行事になっていたらしい。

そんなお義父さんは、旅先の宿で夕食のときにご当地ビールを飲むのを毎回楽しみにしていたという。

それを聞いた僕は、お義父さんへのプレゼントに、僕の実家がある川越のクラフトビールセットはどうかと考えた。
いろんな種類があって、飲み比べの楽しみもある。

以前、友里と一緒に川越のレストランで飲んだ時には、「これ絶対うちのお父さんが飲んだらハマるやつ!」と友里が絶賛していた。
これから暑くなる季節にぴったりのプレゼント。
僕の地元のことを知ってもらうきっかけにもなる。

お義父さんは旅先で写真を撮るのも好きだったらしい。
そこでメッセージカードは、飛び出すカメラのポップアップカードをチョイスした。

少し緊張しながら言葉を選びつつカードにメッセージを書いて、クラフトビールセットに添え、父の日に到着するよう山梨の義実家へと発送した。

お義父さんは受け取ってくれるだろうか……不快に思われてしまうだろうか……父の日が来るのを、僕はドキドキしながら待った。

父の日当日、お義父さんから初めての電話!

父の日当日。僕らが家でのんびりと映画を観ていると、友里の携帯が鳴った。

「もしもし? うん、今居るよ。ちょっと待ってね」
友里はそう言うと、「お父さんから」と言って、僕に携帯を差し出した。

僕は緊張しながら携帯を受け取り、ゴクンと唾を飲み込み「代わりました、尚人です」と応えた。

「もしもし……友里の父です」
「あ……お久しぶりです、こんにちは」

お義父さんは相変わらず少し無愛想な感じで、でも少し緊張しているようだった。

「あの……ビールを贈ってくれたみたいで。どうもありがとう。尚人くんは川越が実家だったもんな」

「はい、今日は父の日なので……ぜひ飲んでいただければ、と思いまして。図々しくすみません」

「いや、全然そんなことは……ありがとう。美味しくいただくよ」

お義父さんは、友里に代わってくれるかな、と言った。

電話越しで交わしたほんの少しのやりとり。
でも、初めてこんなに言葉のキャッチボールを交わせたことに、僕はじわじわと喜びを感じていた。
友里は、お義父さんと少し話した後、「うん、それじゃあまたね」と言って、電話を切った。

「お父さん、尚人からもらったメッセージカード、嬉しかったって言ってたよ。お盆の時期にでも二人で山梨に来なさい、だって!」
「本当!?」

お義父さんに贈ったメッセージカードには、『今度、山梨にぜひ伺わせて下さい。お義父さんと一緒にビールが飲みたいです』と書いていた。

一歩前進!
僕は思わず「よっしゃ!」とガッツポーズをした。

ペアグラスで一緒に乾杯!!

2ヶ月後の夏休み、僕は友里と結婚後初めて山梨の義実家を訪れた。

直前まで緊張していた僕らを、
「長旅だったな、ようこそ」
とお義父さんは笑顔で迎えてくれた。

手土産に、定番になったビールと、もうひとつ、お義父さんとお揃いのペアビアグラスをプレゼントした。

「なかなか味があるグラスだな、ありがとう! 尚人くん、今日はじっくり飲もうじゃないか」
「はい! お願いします!」

乾杯! と声を合わせてお義父さんと飲むビールは、いつもの何倍も美味しい気がした。
少しずつ、お義父さんと“家族”になってけたらいいな……。

僕は冷たいビールを飲みながら、心から願った。

父の日 におすすめのアイテム