誕生日おめでとう!電話でつなぐハッピーバースデーサプライズ

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不思議な誕生日のはじまり。

遅めの朝。
インターホンの音で目が覚めた。

眠い目をこすりながら玄関のドアを開けると、宅配のお兄さんから荷物を渡された。
差出人は母。

「? ? ?」

不思議に思って箱を開けると、中から出てきたのは、肉……!!
と、母からの手紙が添えられていた。

「ひろき、お誕生日おめでとう!」

あぁそうだ。
今日は僕の27回目の誕生日だった。

社会人になると誕生日もいつもと変わらない毎日の一部なのだが、今年はちょうど土曜でお休み。
彼女のいる僕としては、せっかく誕生日に仕事が休みなのでデートにでも出かけたかったのだが、あいにく彼女は平日休みの仕事をしている。
僕たちはなかなか休みが合わないので、誕生日のお祝いも後日、ということになっていた。

にしても、大人になってからは毎年特別なお祝いなんてなかった母が今年はどういう風のふきまわしだろうか。
布団の横に投げていたスマホを手に取り、母に電話をかけた。

家族からの誕生日おめでとう。

「もしもし! ひろき!?
お誕生日おめでとう! お肉届いた?」

相変わらずの明るい調子で、元気な母の声が聞こえる。

「うん。ありがとう、届いたよ。
急にどうしたのかと思った」

「家出てから、なんもしてやれてないからね。
しおりちゃんと食べてね」

しおりちゃんというのは、僕の彼女のことだ。
つきあって1年が過ぎたころ実家に1度連れて行ったのだが、両親も妹もしおりのことをすごく気に入ってくれて、今ではたまにLINEでやり取りをする仲なのだとか。

「おとうさ~ん! あかね~~!
兄ちゃんから電話~~~!」

スマホの向こうから母の大きな声が聞こえて、ドタドタと駆けてくる音が聞こえる。

「おぉ、ひろき。誕生日おめでとう」
「兄ちゃん、誕生日おめでとうー!」
「ひろき、いくつになったんだっけ?」
「もうお父さん、27歳だって昨日言ったじゃない」
「兄ちゃん、またしおりちゃんと帰ってきてね」

…………。

どうやら向こうはスピーカーにしているようで、みんな好き勝手に話すので、こちらが口をはさむ暇もないようだ……。

ひと通り言いたいことを言い終えたようで、最後に母が取りまとめる。

「まぁ、体にだけは気をつけて。
いつでも帰っておいでね」
「うん。ありがとう」

「じゃぁ……」と電話を切ろうとすると、

「あ! ひろき!
たかひろくんが電話して、って言ってたよ」
と母の声が。

「え……? うん。分かった。
じゃぁ、ありがとうね」
そう言って、僕は電話を切った。

たかひろくんというのは、僕の幼馴染。
今は住んでいる場所も離れているので1年に1回会う程度になっているが、今でも気のおけない友だちだ。

にしても、今度はたかひろから電話くれなんて……。
今日は変な日だな……。

そう思いながら、たかひろに電話をかけた。

おめでとうのバトンをつないで。

「よぉ、ひろき。誕生日おめでとう」
開口一番、たかひろからそう言われ、僕は驚いた。

「え……? あ、ありがと。
お前、よく俺の誕生日覚えてたなぁ」
「まぁな」

それから、たかひろと少し話をした。
仕事のことや共通の仲間のこと。
そして、しおりのことも。

「じゃぁ、また連絡するよ」
そう言って、電話を切ろうとする僕に、
「そういえば、ケンジが電話くれって言ってたから電話してやって」
とたかひろが言う。

「え……? うん、分かった、電話するよ。
じゃぁ、またな」
そう言って、たかひろとの電話を切った。

ケンジは僕とたかひろの小学校の同級生で、たかひろと同様に今でもたまに会う友だち。
同じことが繰り返し起きて、さすがに僕は不思議に思いだした。

その後、ケンジに電話をかけると、母やたかひろと同じように電話口から声がする。
「ひろき、誕生日おめでとう!」

ひと通り何気ない話を終えて切ろうとすると、また、
「ノブが電話くれってさ」
そう言うケンジ。
ノブは、僕とケンジの中学の同級生。

ノブに電話しても同じ。
「誕生日おめでとう」の言葉とひと通りの話をして、最後に高校の同級生である藤山に電話をするよう伝えられた。

藤山からは、大学の同期の岩本。
岩本からは、共通の知人である小高先輩。

何かが起きているのは間違いないようだ。
みんなに共通しているのは、僕の誕生日を知っていて祝ってくれることと、次に電話をかける相手を教えてくれること。

でも、久しぶりに話す友だちとの電話は懐かしくて楽しく、僕は言われた通り次の相手に電話をかけ続けていた。

誕生日サプライズは誰が仕掛けた?

小高先輩に電話をかけた。

「ひろきくん! 誕生日おめでとうっ!」

電話先に出たのは、小高先輩の彼女、マナさんだ。

「え……? マナさん?
あ、ありがとうございます」

「ひろきー、おめでとう!」
後ろの方から小高先輩の声も聞こえる。
どうやら一緒にいるらしい。

小高先輩とマナさんは、僕としおりを引き合わせてくれた人だ。
先輩が誘ってくれたバーベキューに、マナさんの後輩のしおりが来ていたことで僕たちは出会った。
二人がいなければ僕はしおりと出会えていなかったわけで、先輩とマナさんには本当に感謝している。

「ひろきくん、今日は楽しい誕生日になったかな?」

マナさんに言われ、やっぱりこの不思議な出来事は仕掛けられたものだったんだと確信した。
「え……? これって、マナさんが仕掛け人なんですか?」

そう問いかける僕に、マナさんは全力で否定する。
「違う違う! 私がひろきくんにそこまでするの変でしょ?!
今日、みんな同じ人のこと話してなかった?」

「え……?」
そう言われ、僕は今日みんなと電話でした会話を思い出していた。

そうか……!!
しおりだ!

たかひろや岩本は、しおりと面識があるから普通に彼女の話をしたけど、ケンジやノブ、藤山まで、
「彼女と仲良くしろよ」
とか、
「大事にしてやれよ」
とか確かに言っていた。

「しおり……、ですか?」

僕の言葉を聞いて、マナさんは、
「それは、行ってみればわかるよ~」
と嬉しそうに言った。

マナさんから伝えられたのは、今日の夜18時。
僕としおりが行きつけにしているレストランの前で待ってる、とのことだった。

母に電話をかけてから、結構な時間が経っていた。
今年も何もないまま終わるはずだった誕生日は、たくさんの人からの「おめでとう」と懐かしい仲間と話す楽しい時間で過ぎていった。

たくさんの「おめでとう」をもらった誕生日。

夜18時。
指定されたレストランが目の前に近づいていた。

やっぱり……!!

レストランの前に立っていたのは、僕の大好きな人。
しおりだった。

しおりは、僕に気づいて笑顔で手を振る。
僕は小走りに、しおりの前へと急いだ。

「ひろき、楽しい誕生日だった?」
しおりは、にこにこ笑顔で僕にそう問いかけた。

「やっぱり、しおりだったんだ。
ありがとう。楽しかったよ」

「よかった」
そう微笑んだしおりは、僕の手を取って店の中へと進んだ。

「何もない誕生日にしたくなかったの」
ディナーを食べながら、しおりが言った。

仕事で一緒にいられない分、「おめでとう」でいっぱいの日にしてあげたかったそうだ。
面識のない友だちは、たかひろが協力して連絡をとってくれたんだとか。

たくさんの「おめでとう」と、大好きな彼女との時間。
どちらもプレゼントされた最高の誕生日になった。

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