【洋菓子店が生き残りをかける!】サプライズ&メモリアルを演出するブランド構築

【洋菓子店が生き残りをかける!】サプライズ&メモリアルを演出するブランド構築

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このサプライズに使用されたアイテム

苦境に立つ洋菓子業界

私は子どもの頃からの夢だったパティシエを目指して専門学校に通い、都内の洋菓子店に就職して3年。まだまだ先輩から指導を受けながら仕事に励む日々ですが、少しずつ自信がついてきました。

そんなある日、ニュースアプリをチェックしていると、
「街のケーキ屋さん、倒産急増!好調なスイーツ市場だがコンビニスイーツと競争激化」という記事が目に飛び込んできました。

倒産が増えている要因として、
・安価でおいしいコンビニスイーツの台頭
・洋菓子全体では消費者の支出額は伸びているが、クリスマスやバースデーケーキといったデコレーションケーキは節約志向の影響を受けて支出が減少傾向にある
・輸入小麦やバターなど主要原材料の価格上昇によるコストアップ
・パティシエ(洋菓子職人)の人材不足
などが挙げられています。

私が勤めるパティスリーでも最近はデコレーションケーキの販売数が減っており、オーナーが悩んでいます。私たちの業界ではクリスマスケーキの販売個数が年間の売上・利益に大きく影響するので、非常に危機感を感じるニュースでした。

オーナーから思わぬ指示が!「店舗価値を高めるアイデアを出してくれ!」

私が勤めるパティスリーは毎月の定例ミーティングがあり、売上の共有や新商品検討などを行っています。今日はそのミーティングの日。冒頭にオーナーから先月の売上が発表され、売れ筋商品の紹介や改善が必要なことに対する対策が検討されました。
そしてミーティングの最後に、先日私が読んだ洋菓子店業界のニュースについてオーナーが話はじめたのです。

スタッフ全員が緊張した表情でオーナーの話に集中していると、これからお店の魅力をどのように高めていくか、そしてその魅力をどうやって発信していくか、アイデアを出してほしい!と。私に白羽の矢が立ったのです!

「えー!なんで私!?」

と心の中で叫びましたが、オーナーから20代の女性視点でお客様にどのようなサービスを提供すれば喜んでもらえるか考えてみてほしいと言われ、承諾するしかない私は今まで経験したことがない仕事にチャレンジすることとなったのです。

とにかく失敗を恐れずチャレンジするのみ!

とはいっても何から手を付けてよいか全くわからない状態。先輩に相談しても、パティシエが本業なのだから畑違いの仕事にアドバイスできるはずもありません。
とにかく失敗を恐れずにチャレンジするのみ!と自分に言い聞かせました。

とりあえず新聞やインターネットで情報収集から始めてみると、
「モノが売れない時代に大切なブランド構築」
という記事を見つけました。 記事を読み進めていくと、人口減少や所得格差が進む中、国内の「モノ」はある程度行き届いており、モノが売れない時代に必要なことは「ブランドストーリー」であると。

ブランドストーリーとは、「お店の商品やサービスをお客様に興味を持ってもらうための手段」。
例えば、このケーキを企画した経緯やどんな思いでパティシエが作っているかなどをストーリーにしてお客様に伝え、共感を得ることだと。

そして、ブランドストーリーを生み出す出発点として、経営者の思いが欠かせないと書かれています。

お店を創業した経緯や思い。未来に向けてどんなお店にしたいのか、どのようなビジョンを掲げ具体的に何から取り組むのかなど。
私はこの記事にとても共感し、このお店のブランド作りから考えてみることにしました。

オーナーが持つお店への思いからブランド構築へ

私はブランド構築の必要性をオーナーに説明し、このお店を創業した経緯やオーナーの夢、ビジョンなど質問しました。

オーナーがパティシエとなり自分のお店を持つ夢を描いたきっかけは、子どもの頃の誕生日に母親が買ってくれたバースデーケーキだったとのこと。

真っ赤ないちごがたくさんのった生クリームデコレーションは、ふっくらしたスポンジに、生クリームといちごがサンドされており、そのおいしさは未だに忘れられない最高の思い出であること。そして何より母親の愛情を強く感じる瞬間だったこと。

こんなに嬉しい出来事を、将来自分の仕事としてたくさんの子どもたちに体験してもらいたい。そう思ってパティシエになり独立したそうです。

私はオーナーの話を聞きながら、「サプライズ」と「メモリアル」という二つのキーワードが頭に浮かび、このキーワードでお店をブランド化することをオーナーに進言しました。 オーナーも初心を思い出すことでお店に対する考えが整理され、商品やサービス内容を「サプライズ&メモリアル」で再構築していくことに承認してくれました。

ビジョンを明確にし、一貫性を持ったブランド構築へ

私は、「洋菓子を提供することで、子どもたちの笑顔を創り、家庭に温もりを届ける」というビジョンを掲げ、このビジョンを実現するために「サプライズ&メモリアル」が得られるお店というブランドを構築することをスタッフ全員に説明しました。

どのお客様からも、このお店で洋菓子を買えばサプライズ感やメモリアル感が得られるという店舗イメージと期待を持ってもらわなければなりません。そして当然のことながら、そのイメージ通りの商品・サービスを提供し、期待に応えなければなりません。

早速、あらゆる観点から「サプライズ&メモリアル」の実現に向けて企画・アイデア出しです。商品開発に関しては先輩方にお任せして、私は商品以外のモノ・サービスで如何にサプライズ&メモリアルを演出するか考えることにしました。

演出といえば、商品パッケージがすぐに思いつきます。現在使っているデコレーションケーキを入れる箱は、白色にお店のロゴが入っているシンプルな箱ですが、これではサプライズ感は出ません。 私がオーナーに相談すると知り合いの社長さんを紹介してくれました。その社長さんは印刷会社を経営されており、ちょうど私たちが求める「サプライズ&メモリアル」のコンセプトでパッケージ商品の開発を行っている最中でした。

商品を見せてもらうと、クリスマスや誕生日、結婚祝いや出産祝いなど記念日をテーマにしたサプライズ感満載のポップアップボックスが並んでいます。

私は思わず

「これください!」

と叫んでしまいました。

箱を開けると同時に飛び出すポップアップの仕掛けは、お店のブランドを訴求するのに最適なツールだと思ったのです。今までのシンプルなボックスに比べると当然コストは高くなりますが、バースデーケーキやクリスマスケーキなど商品を絞り、なるべくボックスの発注量を多くすることで、単価を下げるようにしました。

さらに「サプライズ&メモリアル」を演出するツールをインターネットで探していると、バルーンを使ったパーティセットを見つけました。パステルカラーのかわいいデコレーションでお部屋を明るく演出してくれるペーパーファンとガーランドにバルーンがセットとなった商品です。
お店で仕入れてお客様に販売するかは今後の検討として、まずはこのようなサプライズ演出をするツールを私たちが情報収集して、お客様に発信していくことが大切だと思いました。

情報発信方法としては、店内のPOPやフライヤー、インスタグラムなどのSNSも活用すればよいと思います。今まではケーキや焼き菓子といった商品の告知ばかりを行っていましたが、ブランドから落とし込むことで、情報発信内容も明確になります。

そのほかにも2枚から作れる「サプライズメッセージ文字Tシャツ」や、48個のLED球をカーテンに取り付けて幻想的な光の演出を可能とする室内イルミネーションなど、探している私がワクワクする商品がたくさんあります。

お店のブランドを構築するための新商品と、サプライズ&メモリアルを演出するツールの組み合わせで、たくさんの子どもたちが笑顔になってくれることを今から楽しみにしています。