IDEA
母の日サプライズ!たくさんの想いを詰め込んで贈るカーネーションのお弁当
ダブルサプライズ作戦!プレゼントの中にさらにもう一つ!?
『お母さん、おはようー!』
「あら綾香、今日は珍しく早起きじゃない。どうしたの? 仕事いつもより早く行かないといけない日なの?」
『ううん、違うよ。たまには私にもそんな日があってもいいでしょ』
朝6時半ごろ。
2階から1階のリビングに降りてきた母が、珍しく早起きしている私に驚いています。
「今日は雨でも降るんじゃない?(笑)」
そんな冗談を言いながら、お弁当作りのためいつものようにエプロンをつけ始めた母。
台所に向かおうとしたところで、ダイニングテーブルの上に置いてあったバッグの存在に気が付きます。
「綾香バッグ新しくしたの? とってもきれいな色のバッグねぇ」
『ふふふ、かわいいでしょ。実はそのバッグお母さんのだよ。私からのプレゼント!』
「え! これ私へのプレゼントなの? えっと……、今日何の日だったかしら?」
母は今日が何の日かすっかり忘れていたようで、カレンダーを見て確認しています。

「あ、分かった! 今日は母の日だったのね。わぁ、嬉しい! 私の大好きな赤色。それにちょうどいい大きさだし、会社に持っていくのにもよさそうだわ」
『そうそう、私もお母さんの通勤用バッグとして使ってもらえるかなぁと思って選んだんだよ。今使っているバッグ、あれだいぶ年季入ってたでしょ』
「そうなのよ……。って、あれ? 随分重たいけど中に何か入ってる? 何かしら?」
手に取ったバッグの重さから、私の仕掛けたもう一つのサプライズに気が付いた様子です。
バッグの中から出てきたものは――。
10年以上毎朝お弁当を作ってくれた母にありがとうの想いを込めて
我が家は父と母、私の3人家族。
私は現在社会人5年目を迎えますが、学生の頃からお付き合いしていた彼と今年結婚を控えているため、夏ごろにはこの家を出る予定です。
学生のころは一人暮らしをしている友人がうらやましいと感じたこともあったのですが、社会人になってみるとその考えは一変。
疲れて帰ってきてもすぐにあったかいご飯が出てくるし、体調を崩せば心配もしてくれる。
それに仕事でミスして落ち込んだりしていても、話を聞いてくれて味方してくれる人が身近にいるって本当にありがたいもの。
今は、家を出るの寂しいなぁなんてしょっちゅう思っているほどです。
そんななか、気が付けば今年ももうすぐ、日ごろの感謝の気持ちを伝えるイベント“母の日”が近づいています。
結婚も控えているので、何かいつもとは違った形のことができればとずっと考えていたのですが、なかなかいい案が思いつかずにいました。
けれどあるとき、ふとしたタイミングで母の日のサプライズアイディアを思いついたのです。
それは、職場でお弁当を食べていたときのこと。

実は、いまだに私のお弁当を毎日作ってくれている母。
この年になっても母にお弁当を作ってもらっているなんてちょっぴり恥ずかしい部分もあるものの、やっぱり食べ慣れた母の味にはいつもほっとさせられます。
また母はというと、「どうせ自分のも作らなきゃだからついでよ」と言ってくれるのですが、母自身もパートに出ながら家事をこなしてくれているので、本当に頭が下がる思いです。
思い返してみると、母にお弁当を作ってもらった期間は給食だった小学校を除いて、幼稚園・中学校・高校そして社会人になった今と計10年以上。
10年以上もお弁当を作り続けてくれているなんて、改めて母の偉大さを痛感します。
そんな母特性のお弁当を食べられるのもあともう少し。
そこで、母に今までの感謝の気持ちを込めて母の日に手作りのお弁当をサプライズしたいと考えたのでした。
思い出に残るプレゼントと実用性のあるプレゼントの二種類を母へ
とはいえ、お弁当なんてこれまでに数えるほどしか作ったことのない私。
『どうやったら、母のように見た目もおいしそうなお弁当にできるんだろう……』
何を作ったらいいのか分からず、スマホでお弁当のレシピを検索してみます。

すると母の日にぴったりなレシピを発見。
それはハムと枝豆を使ってカーネーションを形取るというものです。
ハサミでギザギザに切ったハムを数枚重ねて花びらに見せ、花の“がく”となる部分もハサミで切った枝豆で再現。
これならハサミで切ってご飯の上に置くだけでかわいらしい見栄えに仕上がるため、卵焼きやウインナーなどの簡単おかずのお弁当でもそれなりに特別感のあるものになりそうです。
また、ハムを小さいハート形に切ってお弁当箱の中に散らしたり、かわいいピックを用意したりするのもよさそうだと思いました。
当日はサプライズ感を出すため、母より先に起きてバレないようにお弁当を作る予定です。
また、お弁当サプライズを計画しながら、もう一つアイデアを思いつきました。
母は少し前に通勤バッグの中の布が破けたと話していたのですが、母の日プレゼントとして新しいバッグを用意してその中にお弁当を入れて渡せば、ダブルのサプライズで母はきっと驚くはずです。
そう考えた私は、さっそく母の通勤バッグを探し始めました。
素敵なバッグがたくさんあったので迷ってしまったのですが、その中でも私が一目ぼれしたのがきれいな色みをした帆布トートバッグです。
シンプルな見た目でありながらも、アシンメトリーなシルエットがちょっぴり個性的で通勤用にもデイリーユーズにもよさそうです。
何でも、この独特なカーブは身体にフィットしやすいように設計されているのだとか。
また、持ち手の先にはキーリングもついていて、バッグの中でいつも鍵が行方不明になっている母にはぴったり!
やっぱり見た目も大事ですが、使い勝手のよさも譲れないポイントです。
それにマチもたっぷりあるので、お弁当もすっぽり入りそう。
色みは朱色・藍色・炭色の3色がありましたが、母は昔から赤色が好きなので朱色に即決。
母の喜ぶ顔を思い浮かべながら、そのまま購入手続きを済ませました。
実家で過ごす残り時間をさらに有意義なものにしてくれたサプライズ
迎えた母の日当日。
「わぁ、嬉しい! 私の大好きな赤色。それにちょうどいい大きさだし、会社に持っていくのにもよさそうねぇ」
無造作にテーブルの上に置かれたバッグを見て、母はまさか自分へのプレゼントとは想像していなかったようで最初はとても驚いていましたが、私からのプレゼントと分かって大喜び。
けれどサプライズはこれだけではありません。
「あれ? 随分重たいけど中に何か入ってる? 何かしら?」
バッグを手に取ろうとした母は、バッグの重さから中に何か入っていると気が付いたようです。
「綾香、これって……もしかしてお弁当?」

『へへへ、実はそれも私からのもう一つのプレゼント。私が家を出たらお母さんのお弁当ももう食べられなくなっちゃうでしょ? そう考えるとちょっと寂しいなって思うんだけど、それと同時にお母さんのありがたみを再認識してさぁ。だって彼にあんなお弁当毎日私作ってあげられないよ(笑)で、ありがとの気持ちを込めて今朝は早起きして作ってみたの』
「もー、朝から何水臭いこと言ってるの、照れるじゃない。でも綾香がお弁当作ってくれるなんて嬉しいなぁ」
『作りながらお母さん毎朝こんな風にお弁当作ってくれてたんだなぁって何だか改めて尊敬しちゃった。でも、味の保証はないよ(笑)。あと中身はお昼休みまでのお楽しみね!』
「お昼休み楽しみだなぁ」
母はバッグを肩にかけ、鏡の前でポージングしながらとても嬉しそうです。
そしてお昼ごろ。
職場で昼休憩を取っていると母からメールが届きました。
“今日はバッグとかわいいお弁当をありがとう。食べるのもったいないから写真に撮ってから食べたよ! とってもおいしかったです。あと手紙もありがとね。綾香が家を出ちゃうまであともう少しだけど、それまでは母さんにお弁当作らせてね”
実は、直接手紙を渡すのは恥ずかしかったのでお弁当と一緒に感謝の気持ちを綴った手紙も添えておいたのです。
母からのあたたかいメールに何だかじーんときてしまいます。
けれど、家を出る前に母へ感謝の気持ちが伝えられて本当によかった!
ちなみに余談ですが、帰宅したあと母のスマホの待ち受けにはあのお弁当の写真が設定されていてびっくり!
母の喜びようが、この待ち受けから伝わります。
家を出るまであと数か月。
母と過ごす時間を大切にしつつ、できれば母に料理を習ってレベルアップしたお弁当をまたプレゼントできたらいいなぁなんて密かに計画を立てている私です。