IDEA
【ストレス発散】バレンタインに彼へ贈った“ピニャータ”サプライズ
「これは……なんだ?」彼の不思議そうな顔で始まったサプライズ
「お邪魔しまーす」
今日はバレンタインパーティー。
私の部屋で彼に料理を振る舞う約束をしていました。
『いらっしゃーい、今日も遅かったねぇ。お疲れさま』
「ありがとう。ほんとにクタクタだよ~。部長もさ、もうちょっと仕事配分考えてくれたらいいと思わない?……って、え?! これは……なんだ?」

恭平が部屋へ入った途端、準備しておいたあるモノに気が付いてくれて、私はニンマリ。
気付いたはいいものの、“それ”が何か分からない恭平は、不思議そうな顔で近づいていきます。
仕事で疲れた彼をバレンタインのサプライズで癒したい
バレンタインを1ヶ月後に控えたある日。
年末年始の連休が明けてまだ1週間と少ししか経っていないのに、恭平の顔には疲れが滲んでいました。
「恭平、大丈夫?」
『……うん? あ、うんうん、大丈夫だよ』
そう強がっていましたが、すぐに眉間にしわを寄せ、どこか考え込んでいる様子。
実は12月頃から新しいプロジェクトのリーダーを任され、ただでさえ忙しかったところに、1月からは中途採用で入社したメンバー3人の教育係まで任されてしまったそうなのです。
『体力的には全然問題ないんだよ。むしろ元気! ……なんだけど、リーダーも教育係もそんなに経験したことがないから、なんだか気を遣いすぎてしまってさ』
こんな風に弱音を吐くのも珍しいことです。
その日はただ話を聞くことしかできなかったので、家に帰った私は改めて何か恭平の役に立てることがないか考えてみました。

「そういえば、もうすぐバレンタインだ。甘いものが大好きな恭平に、とびっきりのチョコレートをあげたら少しは元気が出るかな?」
ひとまず私は、美味しいものでストレス発散してもらおうと恭平が大好きなチョコレートを注文しておきました。
でも、なんだかこれだけだと物足りないような……。
それから約1週間、暇さえあれば『何か恭平の元気が出るものがないか』と考えていました。
最近“ピニャータ”っていうのが流行っているらしい
そんなある日。
気晴らしにYouTubeを見ていると、何やら見慣れないものでYouTuberたちが盛り上がっています。
調べてみると、“ピニャータ”というアイテムとのこと。
南米のお祭りやお誕生日パーティーに登場するアイテムで、日本でいう“くす玉”に近い存在なのだとか。

中には小さなお菓子やおもちゃがたくさん詰まっていて、目隠しをした子どもたちが棒でピニャータを思いっきり叩きます。
すると中からお菓子やおもちゃが少しずつ飛び出してくるというワケ。
最近は日本でも、お誕生日会やパーティーなどで取り入れる人が増えているようで、インスタでもいくつか投稿が出てきました。
「スイカ割りみたいな感じかな? これは楽しそうだし、ストレス発散にいいかも!」
早速100均で材料を購入します。
揃えたものは、風船とのり、色鮮やかな折り紙とひもです。
実家から新聞紙も少し送ってもらいました。
さあ、後はバレンタインまでにピニャータを作るだけ。
ネットで調べた方法によると、
- 膨らませた風船に水で薄めたのりで新聞紙を貼り付け、乾かす
- しっかり乾いたら折り紙をペタペタ貼り付けて飾り付け(絵の具で色付けしても◎)
- 中の風船を割って取り出す
- 吊り下げられるよう、穴が開いている方を上に向けて紐をつける(紐を通す穴を開けるとき、ガムテープで補強してから開けると破れにくいそうです)
- 中にお菓子を詰め込んだら完成!
とのこと。
文章だけでは分かりにくかったので、私はYouTubeを参考に作ってみました。
最後に実家の母へ連絡し、兄が昔、修学旅行で買ってきた謎の木刀を送ってもらって準備は万端。
バレンタインデー当日を待ちます。
気付けば汗だく! 思った以上に盛り上がったピニャータサプライズ
待ちに待ったバレンタインデー。
彼は前にも増してヘトヘトな様子で家に来ました。
それが冒頭での反応です。
不思議そうな顔で、吊り下げられているピニャータに近づく彼。
(室内干し用の洗濯竿に吊り下げてみました)
「藍ちゃん、これは……?」
と振り返った彼は、
「うわ?!」
と、また驚きます。
彼がピニャータを眺めている間に、こっそり鉢巻きを締め、木刀を片手に持って待っていたら驚かせてしまったようです(笑)。
『ふふふ、ピニャータって知ってる?』
先月仕入れたばかりの知識を、さも昔から知っていたかのように話していきます。
話を聞いた恭平は、
「え~なにそれ! 面白そう! 早くやろうよ」
と思った以上にウキウキした反応を見せてくれます。
本当はご飯を食べてからピニャータを、と思っていたのですが、あまりに食いついてくれたので、先にやってみることにしました。
目隠しをした恭平は、その場で10回まわります。
「いや、スイカ割りじゃないからね(笑)」
『あ、そっかそっか。よーし……あれ? どっちだ?』
早速迷い始める恭平。
「あはは! 右だよ右~、あ、もうちょっとだけ左! そうそう真っ直ぐ行って~……そこ!」
『おりゃー』
パスーンと音を立てて、ピニャータが揺れます。
パラパラと落ちてくるお菓子たち。
でもまだピニャータ自体は割れません。
『よし、もう1回。おりゃー!』
「がんばれがんばれ」
『うりゃー』
「あ、もうちょっと右、そうそうそこー」
気が付けば二人とも汗だくになるぐらい、白熱したピニャータサプライズ。
最後はもう目隠しを外し、剣道の素振りのように叩いていました(笑)。
すると、グシャグシャのピニャータがぽとっと落ちていきます。
『おっ! やった、やっと割れたー! スッッッッッキリしたー!』
ガッツポーズで座り込む恭平。

「ふふ、ストレス発散になった?」
『バッチリ! バッティングセンター行くよりスッキリしたわ(笑)』
そう言って笑ってくれる恭平は、達成感あふれる表情です。
『あ、しかも俺の大好きなチョコばっかりじゃん。最高すぎる! 藍、ほんとにありがとう。俺、明日からもがんばれそう』
その後、プロジェクトの忙しさは少しずつ落ち着き、新人さんもどんどん手が離れていったようで、恭平は元気を取り戻しました。
それでも、また次のバレンタインにはピニャータをしたいと言い張る彼。
「次は一緒にやりたいな~」
と思い、ピニャータを2つ用意するつもりの私です。