彼の家で仕掛けたバレンタインサプライズ
「ふー、さっぱりしたぁ。お風呂お先!」
今日は彼の家に泊まりに来ています。
私の作った夕飯を一緒に食べたあと、後片付けをしている間に先にお風呂を済ませた彼がリビングへと戻ってきました。
濡れた髪をタオルでわしゃわしゃと拭きながらリビングに入ってきた彼は、いつものようにダイニングテーブルに腰掛けようとしています。
そして、ようやく私の仕掛けたサプライズに気がつきました。
「え、え!? 真紀ちゃんこれ何?」
実は彼がお風呂へ入っている間に、あらかじめ用意しておいたワインとおつまみをテーブルにセッティングしておいたのです。
サプライズ感が出るよう、セッティングの仕方も私なりに工夫を凝らしました。
「いつの間に? てかこれかわいいんだけど! 真紀ちゃんが用意してくれたの?」
彼は思ってもいなかった突然のサプライズに驚きを隠せないようです。
『へへへ、実はちゃんとバレンタイン用意してあったんだよ。驚いたでしょ』
「そーなんだ! 俺てっきり今年はないと思ってたから……。てかあれ? このワイン?」
どうやら、私が仕掛けたもう一つのサプライズにも気がついた様子の彼。
これは大好きな彼に贈ったバレンタインサプライズのアイデアです。
バレンタインなのにチョコ嫌いの彼、何を贈れば?
彼の名前は、ケイ君。
ケイ君とはもともと高校の同級生です。
数年前に同窓会で再会して、お付き合いする流れとなりました。
いつも穏やかで優しいケイ君が私は大好きです。
でも彼は現在夜勤もあるシフト制の仕事をしているので、なかなか二人の休日が被らないのが悩み。
そのため、ここ最近会えないときは一人暮らししている彼の家に私がときどき泊まりに行ったりして一緒に過ごす時間を作るようにしています。
そんなケイ君と過ごすバレンタインも今年で3回目です。
『今年のバレンタインはどうしようかな……』
ここ最近ずっと考えているのは、来月に控えたバレンタインのことばかり。
というのも、彼は甘いものが苦手。
なので、ずっとチョコレートの代わりにプレゼントを用意してきたのですが、付き合って3年目ともなるとこれまのでバレンタインも含め、誕生日やクリスマスなど財布や時計といった一通りプレゼントの定番ものはすでに経験済みです。
そこで彼に直接『バレンタイン、欲しいものとかない?』と直接聞いてみたのですが……。
「欲しいものなんてないよ。チョコレートも俺食べられないし今年は何も用意しなくって大丈夫。その分家で一緒にご飯食べられたらうれしいかな」
と優しいケイ君の反応。
『そう……? じゃあバレンタインの日はご飯作るの頑張るね!』
とその場では返答してみたものの、何だかずっと『ご飯作るなんて普段とあんまり変わらないし、バレンタインっぽくないなぁ。本当にそれでいいのかなぁ?』と腑に落ちずにモヤモヤしていたのでした。
一目ぼれしたワイン&ボトルスタンドを使ってサプライズ
そんなモヤモヤを抱えていたある日。
スーパーに立ち寄った際に、ワイン売り場でバレンタインフェアのスペースが設けられているのに気がつきました。
近寄ってよく見てみると、バレンタイン仕様のラベルが張りつけられていたり、ハート形のワインなんかもあったりしてどれもとてもかわいらしい感じです。
『チョコレートやプレゼントじゃなくてもお酒もアリかも! ケイ君お酒飲める人だし喜んでくれそう』
スーパーで偶然ヒントを得た私は、自宅に帰って早速バレンタインに合うお酒をリサーチ。
バレンタインにもぴったりな雰囲気のお酒は意外とたくさんあるうえ、お酒についてあまり詳しくない私はかなり悩んでしまったのですが、そんな中で目に留まったのが、ワインボトルにペンで直接メッセージが書き込める仕様になったものでした。
『こんなワインがあるなんてすごい! 改まって手紙を書くのは恥ずかしいけれど、これなら気軽にメッセージが書けそうだしケイ君も驚きそう』
そう思った私は、このワインの購入を即決。
そのまま購入手続きを済ませました。
『どうやってこのワイン渡そうかなぁ。あ! どうせならワインと一緒におつまみも用意して、ケイ君をもっと驚かせてみたいなぁ』
ワインの渡し方をイメージしながら、私のサプライズ欲がムクムクと湧いてきました。
そこでサプライズに使えそうなものはないかネットでさらにリサーチをしてみたところ、とってもかわいらしいアイテムを発見!
それは、イヌをモチーフにしたワインスタンドです。
こんなかわいらしいワインスタンドがあるなんて思いもしなかったうえ無類の犬好きの私は、見た瞬間に一目ぼれ。
だって3種類あるうちの一つは、ケイ君が趣味としているギターを抱えているという素敵すぎるコラボだったから。
それに鉄素材でできていて、インテリアとしてもとってもおしゃれな雰囲気です。
『これにワインをさしてボトルの上部に赤いリボンなんてしたら絶対かわいい!』
そんなイメージまで湧いてきてしまった私は迷わずにこちらを購入!
バレンタイン当日がとっても楽しみになってきました。
彼の入浴中を狙ってバレンタインサプライズいよいよ決行へ!
迎えた当日。
ケイ君が仕事だったため、夕方ごろケイ君の家で合流をしました。
「お、今日のご飯は手が込んでいますねー」
『だって世間はバレンタインだからね。ケイ君がチョコ食べられない分、今日はいつも以上に愛情込めて頑張ってみましたー!』
「そうだった。ではありがたくいただきます!」
こんなやり取りもあり、ケイ君はこの手料理が私からのバレンタインだと思い込んでいる様子です。
「ふー、おいしかったです! ごちそうさま」
食べ終わったケイ君はそのままソファに寝転んで一服し、しばらくすると仕事でお疲れなのかウトウトしだしました。
『ケイ君、起きて先にお風呂入っておいで! 私ここ片付けるからさ』
「寝落ちしそうになってた。うん、じゃあそうさせてもらう」
『うん、いってらっしゃい』
ケイ君がリビングを出たのを見計らって、さっそくサプライズの準備開始です。
お泊り用バッグの中に潜ませておいたワインスタンドにボトルをセッティングしてテーブルに飾り、夕飯づくりの時にひそかに作っておいた簡単なおつまみも3品ほど配置。
また、クラフトパンチで小さなハート型に切り取ったペーパーをあらかじめ自宅でたくさん作成していたので、それもテーブル上に散らせてとってもかわいい雰囲気に仕上がりました。
ちょうど準備し終えたころ「ふー、さっぱりしたぁ。お風呂お先!」とケイ君がリビングへと戻ってきました。
初めは気がついていない様子でしたが、しばらくしてダイニングに腰掛けようとしたタイミングでようやく反応が。
「え、え!? 真紀ちゃんこれ何?」
ばっちり驚いてくれているケイ君に、バレンタインのサプライズであることをネタ晴らしします。
「いつの間に? てかこれかわいいんだけど! ギター持ってるよ。真紀ちゃんが用意してくれたの?」
ケイ君は驚きながらもボトルスタンドを手に取って嬉しそうに眺めています。
そして「あれ? このワイン?」とワインラベルのメッセージにも気がついてくれました。
“ハッピーバレンタイン♡
いつも優しさでいっぱいのケイ君が大好きだよ!
これからもよろしくね“
ケイ君は「わぁ、真紀ちゃんからのメッセージがこんなところに! これどうなっているの!?」と不思議なのかメッセージを指でなぞって何かを確認しています。
そんなケイ君に『じゃあそろそろ飲んじゃおう!』と促してみると、「ワイン開けるのもったいないから嫌だ」と飲むのを渋りだしてしまいました。(笑)
が、せっかくのおつまみも台無しになってしまうので「ハッピーバレンタイン!」と最後は乾杯をして二人でおいしくいただきました。
酔いながら「幸せなバレンタインだな~」とつぶやくケイ君の嬉しい姿も見られて、私は大満足。
チョコが苦手なケイ君にバレンタインを満喫してもらえて、私にとっても幸せな一日となりました。
ちなみに空いたボトルは翌日ワインスタンドにまたセッティングして、台所のカウンターに嬉しそうに飾っていたケイ君。
そんな姿に、またまた私はほっこりしたのでした。