腰を痛めたパパに鍼灸サービスをサプライズプレゼント
「パパ、お馬さんして」
2歳になる息子は、パパとのお馬さんごっこが大好き。
「いいよ、ほら乗って」
パパが四つん這いになり、私がその背中に息子を乗せてあげると、息子はもうそれだけでテンションがアップ。
息子を気遣ってゆっくり動けば、当の息子が不満そうなので、パパは張り切って動き回ることになります。
いつもより視線が高くなることや、揺られる動きが楽しいのでしょうね。
しかし、息子の体重は13kgあるため、パパは最近腰を痛めてしまいました。
もうすぐクリスマスという12月半ばの土曜日の午後。
家に居ても退屈なので「どこかにお出かけしようか」というパパの提案に「実家から宅配便が届くから、ちょっと待って」と私。
その時、ちょうど私のスマホに「もうすぐ到着します」というメッセージが届きました。
実は、パパと息子のためにクリスマスプレゼントを手配していたのです。
でもこれは、二人には秘密。
「パパ、お馬さんしてー」
いつも通りに息子がせがみます。
「今日は腰が痛いから、一緒にブロックしようか」
「いやだ、お馬さんしてー」
腰が痛いのを我慢しつつ、息子のリクエストに応じようとした時に、玄関のチャイムが鳴りました。
頼んでいたプレゼントが届いたようです。
私がドアを開けると、そこには大きな袋を持ったサンタクロースが。
リビングに案内すると、突然現れたサンタクロースに、お馬さんをしていた夫と息子がびっくりしたような顔をします。
待っていたのは宅配便ですからね。
「メリークリスマス!」
サンタさんがそう言って、袋から息子へのプレゼントを取り出しました。
「新しいお馬さんをサンタさんが届けてくれたみたい!」
出てきたのは、木でできた木馬。
岡山県産のヒノキを使った木馬は木目が美しく、丁寧にひとつずつ作られているので手触りもなめらか。
「これ、みーくんのお馬さん?」
明らかに特別な贈り物だとわかる木馬に、息子の目が輝きます。
「そうよ、パパは腰が痛い痛いだから、パパがお馬さんできない時はこっちに乗ろうね」
私の言葉に、息子は大喜びです。
「そして、パパにもプレゼント!」
私が言うと、サンタさんが付け髭と被り物を取って笑いました。
「フタバ鍼灸院の山本です。いつも奥様にはお世話になっております。腰を痛めているとお聞きして、今日は出張鍼灸治療でこちらに参りました」
「え、どういうこと?」
夫がぽかんとして私を見ます。
「パパ、最近お馬さんし過ぎて腰が痛くなったでしょ。鍼灸治療が私からのクリスマスプレゼントよ」
私の言葉にようやく合点がいったようで、夫が「そういうことか」と笑ってくれました。
息子にはお馬さん、夫には鍼灸治療。
二人とも驚いてくれたので、鍼灸院の先生にサンタコスしてもらった甲斐があったというものです。
パパを腰痛から解放する息子へのクリスマスプレゼント
なぜこんなサプライズアイデアを思いついたのかといえば、私自身が子どもを抱っこしすぎて腰を痛め、鍼灸院に通うようになったからでした。
気さくな院長先生に、
「うちのパパもお馬さんをし過ぎて腰痛めてしまったのよ」
と話をしたら、
「診てあげようか? 連れておいでよ。うちは出張もやっているから、お宅にお邪魔してもいいし」
と言ってもらえたのがきっかけです。
もうすぐクリスマスだし、パパに訪問鍼灸のサービスをプレゼント。それもいいかも。
しかし、パパがお馬さんを続ける限り、一度きりの鍼灸治療では効果も薄そうです。
パパを腰痛から解放する根本的な解決にはならないなぁと思いながら、買い物がてら、息子を少し遠い大きめの公園に連れて行った時のことでした。
「これ乗りたい」
息子が目をつけたのが、スプリングがついた乗り物。
乗るとゆらゆら揺れる、あれですね。
イルカの形をしているそれに乗せてあげると、大喜びで体を揺すり始めました。
馬ではなく、揺れる、という動きがこの子は楽しいのかもしれない。
それなら、パパでなくてもいいのかもしれない……。
息子には家で遊べる、揺れる乗り物を与えれば、パパはお馬さんから解放されるのかも?
それからいろいろ検索した結果、岡山県産ヒノキで作られた馬の乗り物にたどり着いたのです。
リビングに置きっぱなしでも自己主張しすぎない木製だし、何より国産。
子どもが舐めても安心の素材でできているのがポイントでした。
鍼灸院の先生と相談することで、よりサプライズ感がアップ!
パパと息子へのプレゼントが決まったので、鍼灸院の先生に出張をお願いすることにしました。
「そういうことなら、サンタに扮してプレゼントも持っていってあげようか?」
気さくな先生がいきなり提案してくれます。
「クリスマス時期には僕もうちのスタッフも、サンタの衣装を着るからね。変装道具は一式持っているんだよ」
「お願いしてもいいですか?」
「もちろん。あ、でもプレゼントを入れる袋は持っていないから、それは用意してほしいかな」
院長先生の提案を受け、大急ぎで木馬を注文。
夫や息子に見つからないよう隠れて木馬のサイズを確認し、生地を購入。
私はミシンを持っていないので、実家の母に頼んで木馬が入る袋を作ってもらいました。
プレゼントを渡す日を決め、前もって袋に入れたプレゼントを院長先生に渡します。
これで段取りはできました。
あとは、院長先生が訪問する日時に、パパと息子を在宅させるようにすればOK!
パパの腰を労わることもでき、息子には新しいおもちゃをプレゼントすることで、パパのお馬さんも卒業。
今回は、鍼灸院の先生に協力をしてもらってできたサプライズだったのですが、なかなかうまくいったのではないでしょうか?